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1/18文学フリマ京都お疲れ様でした!尾ノ池です。
年末年始に、中山七里『連続殺人鬼カエル男』『連続殺人鬼カエル男ふたたび』を一気読みしてどんでん返しシャワーをあびました。
本作はそれにしても色々ショッキングな殺され方をしている。
そこで改めて、「人は他殺でなぜ死ぬのか」をまとめてみたいと思います。
人はなぜ死ぬのか。
つまりこれは、「生命維持機能の低下」です。では、それぞれの他殺方法で、なぜ「生命維持機能の低下」が見られるのか。簡単にいうと酸素を運ぶ血液を体内外に放出させれば、人は死にます。臓器は酸素で動いているからです。内臓にもダメージを与えれば効果抜群。
では個別ケースで考えていきましょう。
①刺殺
狙い①:大量出血による「出血性ショック」
狙い②:内臓機能の損傷
血液は栄養や酸素を運んでいます。血液が急激に失われると心臓が血を送れなくなり、脳を含む全身の臓器に酸素がいきわたりません。脳は数分間、酸素が途絶えると壊れ始めます。人間の体内を流れる血液は、体重の約8%を占めるとされています。その20%以上を短時間で失うとショック症状が現れ、出血量が体内血液の35%以上になると、意識混濁・虚脱などの重篤な状態に進行し、極めて危険な状態になるそうです。
大量出血を狙うなら、動脈や静脈など太い血管がいいようです。
また刺す部位によって、狙いも変わってきます。例えば心臓を刺せば、拍動が維持できません。よく「心臓を一突き」とありますが、血液を全身に送る機能がなくなれば、他の内臓も段階的に死んでいくというわけです。心臓が止まって10分すると、救命率が約10~30%になるようですから、一突きして心臓が止まり15分すればほぼ死ぬでしょう。最短15分で殺人の完成です。
肺を刺せば呼吸ができず酸素不足(緊張性気胸などが起きるそうです)。肝臓・脾臓は出血量が極めて多い。脳や脊髄では呼吸・循環の制御が停止します。
重要な箇所を刺せば刺すほど死にやすいようです。
②絞殺
狙い:肺へ取り込む酸素濃度を低下させる
酸素によって臓器が動きます。心臓が狙えないなら、肺を狙いましょう。
気道を塞げば、肺は酸素を吸うことができません。
呼吸の停止が10秒以上続くと、体内の酸素濃度が低下し始めます。すると心臓や脳などの重要な臓器に負担がかかり始め、機能停止に追い込まれます。例えば大脳は酸素を取り込めない場合、3分で低下が見られ約8分で停止となるようです。
窒息死は、全過程は約4から10分です。最初の2分頃までは、体に残っている酸素で臓器を動かします。しかし、次第に二酸化炭素がたまり、血圧は上昇、痙攣や意識の消失が起きます。交感・副交感神経が刺激され、失禁や脱糞、勃起などが起きるそうです。その後、呼吸筋は弛緩し、呼吸と痙攣は停止。そして死ぬ。刺殺とどちらが早いかはどっこいどっこいですかね。
③溺死
狙い:肺と低体温症
狙いは上記と一緒です。息がはけても吸えはしません。また冷水で行えば、低体温症を招きます。低体温症とは、体内の中枢温度(直腸体温)を基準にして35度以下に低下した病態のこと。深部体温が28度以下になると重症。体温調節機能が働かなくなると、体温低下とともに筋肉が硬直して臓器や心肺などの生命機能がすべて低下。28度以下で昏睡仮死状態に陥ってそのまま死亡します。
④爆死、圧死、轢死、溶解死
狙い:大量出血や内臓損失
いわずもがな。『連続殺人鬼カエル男』でカエル男が好んで使ったショッキングな方法ですね。臓器の狙いはやはり脳。脳幹は再生不可能だそうです。また肺や心臓も唯一無二。
⑤焼死
狙い①:窒息や内臓損失
狙い②:熱傷
狙い①で死ぬ理由は上記のとおりです。
熱傷の場合を見ていきましょう。皮膚の機能は、①体液(血漿・水分)を内側にとどめる、②細菌や毒素の侵入を防ぐ免疫機能、③体温を調節する、です。熱傷で血管が壊れると血液や体液を大量に失い、血圧が下がり、循環不全へ。そしてショック死。
ゆっくりとした死に方では、免疫低下により細菌が入って感染症になったり、免疫の過剰反応による全身炎症を起こし、敗血症を招きます。多臓器不全も招きやすい。また体温を奪っていく。気道が熱傷を受けると窒息もしやすい、など多方面から色々失う。恐ろしいです。
⑥毒殺
狙い①:臓器の機能停止
毒にはいろいろあります。
人気の毒は、青酸カリで正式名はシアン化カリウムという人工科学物質です。胃の中で胃酸と反応することで青酸ガスが発生し、このガスが食道を抜けて肺に到達すると、死に至ります。呼気はアーモンド臭がするだとか。致死量は約200ミリグラムだそうで、ひとなめぺろっでは死なないようです。殺人で使われる毒は他にも、トリカブト(植物)、テトロドトキシン(フグ)、VXガス、サリン、ヒ素などがあります。
『連続殺人鬼カエル男完結編』の完結編も読まなきゃですね!
かえるは いろいろなほうほうでしぬから おもしろいね。
みなさん、長生きしましょう~!
文学フリマの近況雑感
【庵字】
京都は、新生ミステリ研究会が初めて文学フリマに参加した土地です。一月開催ということもあり、「文学フリマ京都から新生ミステリ研究会の一年が始まる」という年始感があります。
今回は、凛野さんが個人ブース出店したため、凛野作品がラインナップから外れ、Kanさんの作品を京都(というか東京以外)で初めて頒布するという特殊な構成となりました。そのKanさんの作品は三冊ずつ持って行ったのですが、『赤沼家の殺人』が開始一時間で売り切れるという好調ぶりを発揮しました。なにせ「小説家になろう」はネット媒体ゆえ全国どこからでも閲覧可能なので、Kanさんの名前は当然京都にも知られており、京都開催の規模(来場者数)から見ても三冊はさすがに少なかったかと反省しました(『妄想禅殺人事件』も14時台で売り切れましたし)。
新生ミステリ研究会ロンチ本の、いわば初期ポケモンであり、すなわち京都では三回目の頒布となる『殺人遺伝子』『京都買います』『MysteryFreaksVol.1』も最低一冊は売れました。これは、リピーターだけでなく新規のお客様も来てくれているというわけで、地道な活動が功を奏しているのかなと思います。個人的には、私(庵字)の本が全種類最低一冊は売れたことも特筆させてください。特に『山手線大爆破』と『ナイトスティンガー』は、初回頒布以降、一冊も出ないということが珍しくないマイナー作品(笑)ですので、ミステリに目の肥えた読者の多い(勝手な印象)京都で爪痕を残せたことは嬉しいです。エース作品『メビウス館の殺人』も、京都では二回目の頒布になるにもかかわらず安定して七冊売れました。一方、視葭さんの作品をもっとアピール出来なかったことは申し訳なく思います。興味を惹かれて本を手に取る方は何人もいらっしゃったのですが、もうひとつ押しが弱かったようです。持ち込んだ冊数に余裕があれば見本誌コーナーに置きたかったのですが、そう出来たら目に触れる機会が増えて結果も変わっていたように思います。私の『鳥啼荘の殺人』を「見本誌で見て気になって」と購入してくれた方が数名いらしたので、やはり見本誌の効果は小さくありません。
【尾ノ池花菜】
毎度恒例の無料配布については、用意した200部を配りきれず、配布率も算出を始めてからは「東京41」についで二番目に低い2.2%という数字となりました(予定どおり250部持参していたら大火傷を負うところでした)。京都は配布(受け取り)率が高いほうだと思っていたので残念な結果と言わざるをえません。実際、前回はもっと受け取ってもらえていた印象があります。たった一年で京都の人たちが冷たくなったはずはありませんから(笑)、これは会場が1階と3階の2フロアに分けられたことに起因しているように思います。ミステリ(小説)は、人気ジャンルのエッセイやノンフィクションがある3階とは別のフロアである1階に配置されたため、3階しか訪れなかったという来場者が多かったのかもしれません。1階と3階は出入り口も別で、来場者は1階会場に入ることなく3階だけを廻ることが可能なため、いわゆる「噴水効果」も期待できず、1階のブースはどこも結構割を食ったのではないでしょうか。実際、来場者数は昨年(5,574人)から1.35倍と大きく上回ったにもかかわらず、体感としてブース前を通る人の人数はそう変わらないか、むしろ減ったな感までありました。人気ジャンルは各階、各位置に飛び石状に均等に配置してもらえれば、全身をめぐる血流のごとく来場者をあまねく場内に流せますが、一方的に一般来場者に負担をかけてしまうため難しいのでしょうね。
「無料配布を読んで面白かったので、次回は本を手に取ってみたい」という内容のXポストを見かけたりもしましたので、これに懲りず(笑)受け取り率に左右されずに無料配布は続けていきたいです。「米百俵」の精神ではありませんが、今は無駄に見えても未来に繋がる活動だと信じます。
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歴代文学フリマ_無料配布&雑感
(雑感は、京都10_20260118以降)
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『燃やされた恐竜【解決編】』菱川あいず
『ダイイング・ベット【解決編】』菱川あいず
『スリザーリンク神殿の殺人【解決編】』菱川あいず
『極寒の檻』庵字