ミステリのMでM-1グランプリってのもアリかもですね

 凛野です。よろしくお願いしまーす。はーい、ゆ~てますけども~。

 

 1ヶ月近く経ってしまいましたけれど、見ましたか? えむわん。

 漫才頂上決戦M-1グランプリ。もう冬の風物詩と云ってよい一大イヴェントですわね。

 

 その盛り上がりは年々高まり続け、いよいよ今年(もう去年ですが)は出場コンビ10,000組を突破ですよ。

 斯く云う私も出場しています。店員の掛け声が「メンエスで~す」なラーメン屋のネタで挑みましたが予選で落ちました。本当にありがとうございました。

 

 まあM-1自体についてはこの1ヶ月、誰かに会うたび語り続けて計100時間以上喋っちゃったし、やっぱ新生ミステリ研究会HPに掲載するコラムなので、ミステリの話に寄せていきます。

 

 いや。M-1の盛り上がりを見ていると、羨ましいなーと思うんですよ。

 ミステリ(小説)でもこういう大会が欲しいなと。

 

 お笑いには色んな賞レースがあって、有名どころではキングオブコント、R-1グランプリ、THE SECOND、THE W、ABCお笑いグランプリ、ツギクル芸人グランプリ、NHK新人お笑い大賞、NHK上方漫才コンテスト、ytv漫才新人賞あたりでしょう。

 

 しかし、やっぱりM-1は別格なんですよ。もう断然、注目度が違う。

 M-1って「結成から15年以内」かつ「漫才」なので、お笑い全体からすると一部なんですけどね。

 

 何と云っても、M-1ファンの存在です。

 お笑いと云うより、大会のファンが存在していて、しかもそれがめちゃくちゃ多い。

 ファンとまでいかずとも、普段お笑いに興味はないけれどM-1は観るという層はもっと多い。

 さいあく観ていなくても、M-1と云えばそれが何の大会かくらいは通じる。それほど一般に浸透している。

 

 その盛り上がりの理由ってなると、もう切り口が多すぎるんですが、

 今回は《予選からしてオープンであること》に着目したいと思います。

 

 M-1は8月に1回戦がスタートします。そして2回戦、3回戦、準々決勝、準決勝と進み、12月に決勝および敗者復活戦というスケジュールが通例となっています。

 

 もちろん決勝と敗者復活戦はTV放送されますが、それだけではありません。

 近年のM-1は、1回戦における日別のTOP3や、3回戦の全組、準々決勝敗退組なんかのネタ動画がYouTubeに公式でアップされます。準々決勝、準決勝は有料ですが生配信で視聴することができます。

 出場者だけでなくファンも、予選の段階から共に楽しんでいるんです。

 

 これは好きなコンビを応援して、各予選の結果だけ気にしているのではありません。

 日々公開されるネタ動画をチェックして「今年は○○の勢いがすごい」とか「○○がダークホース」とか「○○が相変わらず変なことやってる」とか「○○がまさかの3回戦で落ちた!」とか「○○が初めて準々決勝に上がった!」とか、様々な視点で盛り上がります。

 予選で初めて知ったコンビを、その日から早速応援するようになる――というのも、まったく珍しくないことです。むしろ、M-1を予選から見る楽しみは、新たな芸人の発掘にこそあると思います。

 

 いまのM-1は決勝まで進めずとも、ネタ動画が無料で全組公開される3回戦まで残れば、お笑いファンひいてはM-1ファンには知られるようになります。

 それが切っ掛けで(たとえ3回戦落ちでも)売れるケースだってあります。

 劇場メンバー入りしたり、舞台のギャラが上がったり、他に仕事が来たりします。

 準決勝にまで進めば「バイトを掛け持ちせずとも芸人一本で食えるようになった」と云う芸人も少なくありません。

 

 これですよ、これ。ミステリの新人賞で、ここまでのモノって無いじゃないですか。

 もちろん媒体が違うし、文化が違うし、M-1みたいな盛り上がり方が正しいというわけでもないですよ。

 別に求められてないんじゃないか、と云われれば、そうかも知れません。

 

 でも、ひとつくらい、M-1に近い現象が起きる賞レースがあっても良いと思うんですよね。

 

 と、ここまで書いたところで、すみません、ネット小説の賞って作品がオープンの状態で行われるよなーと思い至りました。私があまり観測できていないだけで、選考過程を含め読者が楽しめる賞(少なくともその条件を持っている賞)は既に存在しているのかも。

 

 その一方で、やっぱり小説は漫才のようにいかないかなーと思ったりもします。

 漫才はひと組あたり3分やら4分程度のネタ動画を視聴すれば足ります。オチまで観なければ評価できないなんてこともなく、ちょっと見て面白くないと感じたら、最後まで観なくたって観て評価したことになります。

 しかし小説、それもミステリってなると、もっと時間が掛かりますし、「観る」と「読む」では負担感も異なります。

 

 というわけで、あくまでM-1的な現象の創出を目指すなら、小説は短編――もっと云えば、ショートショートほどの分量に限りたいですね。

 そして一次選考から最終選考まで、参加作品をネット上で公開することはもちろん、(これはM-1でも不透明な部分ですが)選考結果だけでなく評価シートまで公開してしまう。そうやって可能な限りオープンにして、運営、応募者、読者の全員が一体となり盛り上がれる環境をつくる。

 

 さらには、選考ごとに別作品で挑まなければならない、なんてどうでしょう?

 

 M-1の予選でも重要となっている要素です。

 まあM-1は同じネタをやってもいいのですが、近年のM-1はお客さんも熱心なファンが多く、既にバレているネタを繰り返していると基本的にはウケが減るため、勝ち上がりにくくなります。

 決勝まで進むには、勝負ネタをある程度の数、用意しなければなりません。

 そして強いネタをどこで使うか(いま確実に勝つか、まだ温存しておくか)が、場合によっては芸人を出番の直前まで悩ませる、極限の駆け引きとなっているのです。

 

 これを小説の賞レースでもやりたい。

 

 すると各選考に駆け引きの要素が加わりますし、読者も1次選考の段階で参加作品に目を通せば終了ではなく、最終選考まで各回、興味が持続します。作者も力作を1本提出したら、あとは結果を待つだけで何もやることがない――なんてことはありません。この賞レースでは、選考を勝ち抜いていくのは作品というより作者なのです。

 しかも読者投票による敗者復活の仕組みなんかも取り入れちゃったりして。

 優勝者には、賞金と、その賞レースへの応募作品に未公開の書き下ろしを加えた単行本の出版が確約されることにすれば、応募作品が公開済という商業出版上のデメリットもある程度カバーできそうです。

 

 まあ無責任な妄想で恐縮ですが。

 いっそ新生ミステリ研究会で主催してしまうのも手かも知れませんねえ。

 

 って、その発言も無責任だろ!いい加減にしろ!(びしっ)

 どうもありがとうございましたー。

 

 継続!!

 

 すみません、最後にちょっと宣伝させてください。

 1月19日(日)の文学フリマ京都9、例によって「新生ミステリ研究会」(う-45~46)出店します。

 初の試みとなる叙述トリックアンソロジー『新生ミステリ研究会からの挑戦状』、メンバーのエッセイを集めた合作本『Mystery Freaks』Vol.1~4、さらには庵字さん、菱川あいずさん、視葭よみさん、Kanさんの小説作品――と、大充実のラインナップです。

 なお、凛野は隣の「名探偵、皆を集めてさてと言い」(う-47)で長編小説を販売いたします。

 どちらのブースも見本を置いています。無料配布の短編もご用意していますので、どうぞお気軽にお立ち寄りくださいませ。

 

 それでは今度こそ、もういいよ!(びしっ)

 どうもありがとうございましたー。

 

以上

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