写真で振り返る新生ミステリ研究会・文学フリマの旅~尾ノ池編

尾ノ池花菜

 チャオ。尾ノ池はななです。この度は、ご縁あって新生ミステリ研究会のコラムを執筆することになりました。そこで、『写真で振り返る新生ミステリ研究会・文学フリマの旅~尾ノ池編』をお送りしたいと思います。新生ミステリ研究会では、2024年に、京都・東京・岩手・大阪・札幌・福岡・東京(2回目の参加)の文学フリマに参加しました。そのうち尾ノ池が参加した、京都・大阪・福岡の旅をご紹介します。※文学フリマ東京にも参加していますが、東京は旅ではなく尾ノ池の庭のため省略します。

****

~京都編~
 文学フリマ京都8の前に、尾ノ池は「縁切り神社」として有名な安井金比羅宮(やすいこんぴらぐう)を訪れました。この時の尾ノ池は、ブラック企業に勤めており、直属の禿上司から無視をされるという、とんでもない状況におりました。(注釈:このパワハラ禿上司は尾ノ池のミステリ小説作品で近々死ぬ予定です。)そんな状況から救われたいと思い、いざ神社へ。
 この神社、御祈願の仕方がとてもユニーク。まずご本殿にご参拝。次に「形代」という紙に自分が縁を切りたいもしくは結びたいヒト・モノ・コトなどを書きます。この「形代」を持って願い事を念じながら碑の表から裏へ穴をくぐります。これでまず悪縁を切り、次に裏から表へくぐって良縁を結ぶ。そして最後に「形代」を碑に貼って終了。碑にはたくさんの紙が貼られており、その姿は神々しくもあり、どことなく禍々しいです。多くの来訪者がそれぞれの苦しみや怒りを持っていることが分かります。失礼ながら、ホラー小説の題材になりえそう。

(見てください!この尾ノ池の切実な訴え。この願いを胸に碑をくぐりました。おかげ様で仕事での悪縁を断ち、ミステリ仲間の良縁に恵まれました。)

(八坂神社に隣接する円山公園では、猫さんの集会が行われていました。)

 さて、翌日は文学フリマ京都8本番!新生ミステリ研究会の初めての文学フリマ出店でした。尾ノ池は菱川先生のお手伝いで参加をしておりました。今でこそセールストークや声かけに磨きのかかった参加メンバーでしたが、初陣の京都ではまだまだ不慣れで、大半を椅子に座って通り過ぎる人を眺めることも多かったです。赤の他人に話しかける厳しさ!しかし、京都の参加者はおおらかな方が多く救われました。特に「小説家になろう」ですでにご存じの方や、ミステリ好きな方が多くいらっしゃり、ミステリや読書好きの輪の広がりを感じました。

 なおこの時に初めて、新生ミステリ研究会の文学フリマ文化「無料配布の短編小説」が誕生した貴重な瞬間でもあります。文学フリマ京都8の参加者は、出店者・一般来場者あわせ3,643人でした。大盛況のうちに新生ミステリ研究会の初陣は幕を閉じました。

(今から振り返るとおっかなびっくりの初陣でしたね。初々しい。)


~大阪編~
 大阪に前日入りをした尾ノ池は、「ピースおおさか大阪国際平和センター」を訪ねました。こちらでは、大阪の町が体験した第一・二次世界大戦の様子を多くの資料とともに展示しています。大阪では、1945年、空襲の被害にあい、約1万5000人もの人が犠牲になったそうです。今では観光地として人気の大阪城は、戦時中は陸軍直轄の兵器製造工場として、東洋一の規模を有していた大阪砲兵工廠だったそう。沖縄戦でも首里城に軍司令部が置かれるなどしていますから、軍部が城に拠点を構えることが当時は多かったのでしょうか。日本軍の験担ぎでしょうか。
 戦時中の大阪都市を描き、大阪空襲の様子も描かれるミステリとしては、芦辺拓『大鞠家殺人事件』があります。この作品は、トリックや人間ドラマ、特に江戸川乱歩を彷彿とさせるようなストーリー展開が特徴的です。尾ノ池がピースおおさか大阪国際平和センターを訪ねた後、すぐこの作品に出会ったので、運命的なものを感じました。

(ピースおおさか大阪国際平和センターの内部。戦中の大阪の空気感が伝わる展示でした。)

 さて、文学フリマ大阪12当日。大阪という大都市であることもあり、参加規模は出店者・一般来場者あわせ約4,889人と大きかったです。この頃には、新生ミステリ研究会のポスター設置や縦の空間を利用して本を配置する方法を取り入れ、現在の出店方法が確立していました。立ち寄ってくれた方には、「ミステリ作家は誰が好きですか」と尋ね、その人が興味を持ちそうな新生ミステリ研究会メンバーの作品を紹介する「ミステリコンシェルジュ方式」(※尾ノ池が勝手にこう呼んでいるだけで公式名称ではないです)も誕生しました。大阪の人は京都の人と同様におおらかで、ブースに寄っていただける方が多く、アットホームでした。商人精神を持つ方が多いのか(?)、無料配布の短編小説のはけがすごく良かったのを覚えています。

(メンバーは基本立ち上がって参加者に挨拶とお声がけをしています。多くの人に無料配布の短編小説を手に取っていただき、感謝です。)

(大阪といえば粉もん!文学フリマ大阪前日の決起会ではお好み焼きをいただきました。文学フリマ参加の前日には、決起会としてご当地グルメを堪能しています。)


~福岡編~
 はるばる来たぜ九州。今回も前入りをした尾ノ池は、「福岡アジア美術館」を訪ねました。アジア出身のアーティストによる現代アート作品は、アジア各国の民族や歴史に問いかけを投げかける鋭い作品が多いように感じました。

(ファン・リジュン(方力鈞)from 中国『シリーズ 2 No.3』。幾つもの同じ顔は、没個性を要求し、顔を歪ませる社会の不気味さを表しているそう。あらあら尾ノ池の様子も…)

(リン・ティエンミャオ(林天苗)from中国『卵 #3』。作者の出産直後の写真に白い玉がいくつもつながっている。この玉は、女性が一生のうちに排卵する卵子なのだそう。多すぎ。)

 さて文学フリマ福岡10当日。この会場は2024年から使用される新しい会場のようで、会場の広さ、各ブース間のゆとりの快適さは今までの文学フリマのなかで随一だと思われます。出店者・一般来場者あわせ約1,561人の方が参加しました。文学フリマ福岡では、新生ミステリ研究会が唯一のミステリジャンル作品出店とのことで、文学フリマのジャンルの多様性に貢献しました。会場も広く、参加者もやさしい。会場ではなぜか海賊音楽(ディズニーランドのカリブの海賊で流れていそうな音楽)がリピートプレイされており、なんだかカリブな気持ちになりました。喜ばしいことに、無料配布の短編小説がすぐにはけてしまい、多くの人にミステリをお届けするお手伝いができて嬉しかったです。

(福岡は何といっても会場が広い!通路も広い!机もでかい!人とぶつからない!快適空間でした。)

(打ち上げに食したもつ鍋。人生で食したもつ鍋のなかで一番美味しいぷりもつで、尾ノ池は感激しました。)

****

 2024年は、新生ミステリ研究会が誕生し、全国の文学フリマに出店する飛躍の年だったと思います。そのお手伝いが少しでもでき、尾ノ池としても光栄です。2025年の全国文学フリマの開催予定は以下です。新生ミステリ研究会の直近の参加予定は、1月19日(日曜日)に行われる文学フリマ京都9です。他地域の文学フリマに参加が確定した場合は、公式Xにてお知らせいたします。


【2025年文学フリマ開催日程と新生ミステリ研究会の参加予定】



【文学フリマ京都9 出店!】
●ブース:う-45〜46
●1月19日(日) 11:00〜開催
●入場無料
●京都市勧業館「みやこめっせ」1F 第二展示場
イベント詳細(文学フリマ公式サイト)
  #文学フリマ京都

 本年は様々な読書好きの方、ミステリ好きの方と交流ができ、感謝申し上げます。来年もミステリ界隈をさらに盛り上げていく所存ですので、何卒よろしくお願いいたします。それでは皆様、良いお年を。良いミステリ体験を~。

    Contact